共存共栄、110年のその先へ

社長よりご挨拶

株式会社チクマ 代表取締役 堀松 渉

日本が近代国家への発展途上にあった1868年、神戸港が開港しました。まもなくその中心地である元町に開業した竹馬利兵衛劍菱屋呉服太物店が、チクマの原点です。その後1903年に利兵衛の娘婿である隼三郎が独立し、チクマの礎となる『竹馬隼三郎商店』を創業しました。

当時は羅紗と呼ばれていた洋服用の毛織物生地は国内生産量が少なく多くは輸入品でした。隼三郎が始めたのは、英国から生地を輸入する「羅紗商」でした。日本近代化の大きな流れを感じ、呉服から洋服の時代になると考えました。また隼三郎は、「竹馬」の発音を「たけうま」から「ちくま」へと改めました。電報でも一字少なく、発音もスマートであるとの判断でした。

『一度信用した取引先は売買共に大切にせよ。上質な製品でなければ長続きしない。斬新でなければ商売は出来ない』との隼三郎の方針が、やがて『共存共栄』という企業理念になりました。それは、商品を買ってくださる取引先さま、商品を供給してくださる取引先さま、そして取引先さまの先にいらっしゃる消費者のみなさま、その全てが共にあり、共に栄えるように、との信念です。時代を感じながら変化し、つねに周囲の調和と発展を目指した隼三郎の考えは、今でもチクマの基本であり、普遍です。

日本は世界とともに変化し、進化してきました。チクマが取り扱う衣服、生地も同様です。生地は天然の毛織物に加え、1970年代から合繊織物需要が急伸し市場を席巻しました。現在ではニーズも多様化してさまざまな素材に需要があります。また、環境保全を意識した生地や衣服のリサイクル市場も活発です。衣服が回収されてまた衣服になるという、かつてはあり得なかった製品循環が実現し、チクマも繊維を通じた環境保全に全社を挙げて取り組んでいます。経済の発展と環境保全は矛盾することなく共存し、持続成長できるものでなければなりません。

110年の歩みの中で、チクマは生地に加えてユニフォーム企画製造を主軸にした繊維の専門商社へと育ちました。明治時代の日本近代化の風、1970年前後の高度成長の風、そして21世紀になって激動する世界情勢の風。チクマはそれら時代の風を感じ取りながら社業に邁進してきました。
創業より110年を超え、これからも常に衣服と生地が必要とされる人々の心に思いを馳せて、社会の共存共栄に役立つ企業でありたいと念じています。